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鷹匠を目指す少女の真摯さ『鷹のように帆をあげて』 [YA]


鷹のように帆をあげて

鷹のように帆をあげて

  • 作者: まはら 三桃
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2012/01/24
  • メディア: 単行本


この間読んだ『たまごを持つように』がおもしろかったので読んでみました。
『たまごを持つように』は弓道少女のお話ですが、『鷹のように帆をあげて』はなんと鷹匠を目指す少女のお話。
鷹匠の修行なんてどんなドラマだろうというワクワク感を持ちつつ読み始めると、しょっぱなから涙腺の弱くなったおばさん、涙目になってしまいました。
主人公の理央はいつも左手だけに赤い手袋をつけている。
その手袋は親友の遥のものだった。
ある冬の日遥が片方だけ貸してくれたものだった。
その日、分かれた直後に遥は交通事故でなくなってしまう。

遥のしを引きずりつつその日を回想する理央。
1年前に学校帰りに鳥専門のペットショップをたまたまのぞいた理央と遥。
もこもこの不細工ぽい雛を妙に気に入ったのは、遥だった。
それは鷹の一種でハリスホークという種類の鳥だった。
遥の死以降、理央はちょくちょくこの鳥を見に来ていた。

1年経ってとうとう理央は親に鷹を飼いたいと打ち明ける。
びっくりするところだけど、両親は親友をなくして以来気力のなくなった理央を心配していて、ようやく理央が何かをしようという気力を出した事を喜び、鷹を飼う事を了承する。

そして事が動き始めると、無色だった理央の世界が急に鮮やかな色彩で動き出す。
周囲の協力で徐々に理央の「あのタカを飛ばして遥に見せたい」という夢はかないつつあるように見えるけれど…。

ひたむきな理央の姿、そして幼なじみの康太、現役女子高生鷹匠の平橋美咲、後半活躍するクラスメイトの舞子など、周囲の人たちも登場人物は厳しさと優しさを兼ね備えた感じ。
そして鷹のモコ(ずいぶんかわいい名まえ!)はあくまでまっすぐな純粋さを持っています。

かわいい、だけではすまない生き物との対峙もちょっと入っているけれど、比較的軽く読める作品でした。
鷹匠になるという、現代では難しそうな夢を爽やかに、重くなりすぎずに描いた作品でした。
この作者さんはクラシカルな題材をうまく、現代の女の子の話にとりいれているなー、と思いました。
ただ、物語のスパイスなのかもしれないけれど、最後の飛ぶシーンのあれは蛇足かも、という気がする部分もありました。

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北国の強さと優しさ『羽州ものがたり』 [YA]


羽州ものがたり (カドカワ銀のさじシリーズ)

羽州ものがたり (カドカワ銀のさじシリーズ)

  • 作者: 菅野 雪虫
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2011/01/29
  • メディア: 単行本


『天山の巫女ソニン』の作者、菅野雪虫さんの新作。
今作は平安時代の日本が舞台。
場所は羽州と呼ばれていた地域、東北の日本海側あたりらしい。

ある村の村長の娘ムメは都からやってきた小野家の息子春名丸と出会う。彼の命を救ったことで都から来た小野家の当主春風やその妻桜に教育をうける。
小野家が博多へ赴任して数年後、羽州を飢饉がおそう。都からやってきた役人はそれでも重い税をとりたて、忍耐強い人々の間には不穏な空気が流れ…。

この作家さんの作品で面白いのは、きわめてジュヴナイルっぽい設定の中に、さまざまな社会問題を練り込んでいること。
当時は未開の地扱いだった羽州の人々の暮らし、都人との関係、搾取する役人、反乱とその収束の持っていき方…。
阿弖流為の乱のような大規模な反乱から人々が学んでこの反乱をどのように処理したのか…。
また、他者の中で育ったり暮らしたりしたがゆえに生きづらさを抱える人物などなど、できすぎなくらいかも?
でも、キャラクターたちが魅力的だからグングン読めました♪
【送料無料】羽州ものがたり

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インド版小公女?『図書室からはじまる愛』 [YA]


図書室からはじまる愛

図書室からはじまる愛

  • 作者: パドマ ヴェンカトラマン
  • 出版社/メーカー: 白水社
  • 発売日: 2010/06/12
  • メディア: 単行本


タイトルは何だかな〜な感じですが、読んだ印象としてはインド版小公女。とはいえ、悪い意味で似ているというのではなく、こういうお話は文化は違えど、普遍的なんだなー、と思った次第。
しかも、こちらは児童文学と言ってもYAですし。
作者はアメリカ在住のインド系の海洋学者、という異色の肩書き。
自分の母や祖父のことが物語のひな形になったそうです。

時は1941年、マハトマ・ガンジーによる非暴力によるイギリス独立運動が展開されていた頃。
ブラーフマンの家柄で、父親は医者というヴィドヤ(15)はお年頃とはいえ、結婚よりも大学へ行きたい、自立したいという思いが強い女の子。
父親はリベラルな人物で娘の望みに理解を示している。
そして、父親は密かにガンジーの運動に共鳴し、デモに参加。医者としてけが人の治療にあたっている。
父親がガンジーの運動に参加していると知り、ヴィドヤはとても誇りに思う。
一方父親の兄は古い考えの持ち主で、使用人を人間扱いしないし、ブラーフマン以外の手による料理を拒むなど、厳しい人間。
夏休みにはその伯父の家を訪ねるのだが、そこの娘マラティもその父ありきな娘。当然ヴィドヤとも気が合わない。

ある日、駅に行った帰りにデモ行進に遭遇したヴィドヤは衝動的に車から降りてデモに加わる。
父親の制止を振り切りデモについていく。
しかし、デモ隊は警官隊に取り囲まれ、イギリス人警官に殴られる女性を助けるために父親はその女性をかばい、ヴィドヤの目の前で警棒で殴られる。そして、動くことができない彼女の前で、何かが割れるような音がした。
倒れた父親に駆け寄ったヴィドヤ、警察がデモ隊を収容して行く混乱の中、父親はデモ隊の医師たちに助けられる。
命はとりとめたけれど、脳の損傷がはげしく、知能は戻らなかった。行きて動く屍という状態になる。
一家は自宅を引き払い、伯父の家に厄介になることに。
そこでの生活は使用人同然だし、厄介者として扱われる。
父親のことを「能無し」よばわりされ(実の兄である伯父にも!)る。
伝統的な暮らしをしている伯父の家は男性は2階、女性は1階と分かれて暮らし、食事も別々にとるので、大好きな兄とも話すことができない。
自分のせいで父親が大けがをし、一家が苦しい生活に陥ったと悩むヴィドヤ。
ある日、2階に図書室があるのを発見し、そこへ通うのが唯一の心の安らぎとなるが…。

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未来を切り拓く若者へのメッセージ『ソルハ』 [YA]


ソルハ

ソルハ

  • 作者: 帚木 蓬生
  • 出版社/メーカー: あかね書房
  • 発売日: 2010/03
  • メディア: 単行本


ソルハとはアフガニスタンのダリ語で「平和」を意味する言葉だそうです。
物語はアフガニスタンに暮らす少女ビビを中心に語られます。
アフガニスタンはご存知の通り戦火が絶えず、ビビも幼い頃から戦争の中で育ちました。
そして、戦争が終わり、喜ぶべきところが新たな災禍にみまわれます。
人々の自由をうばい、恐怖で支配したタリバンが街へやってきたのです。
タリバンは女性の勉学を禁止したりさまざまな制限を加えました。
ビビが楽しみにしていた学校は廃止。
それでも両親ともに大学を卒業しており、勉学に理解があるため、兄弟に授業の内容をビビに伝えさせたり、勉強を教えてもらったりできました。
父親は電力会社の技術者でした。戦争中もタリバン支配下にかわっても、発電所のタービンを守るために密かにタービンのメンテナンスに通っていました。それが見つかれば命を奪われかねません。
さらに、母は女性のための地下学校で教師をかってでたため、タリバンに命を狙われます。
つらい出来事の中、ビビを支えたのは父や第一夫人(ビビのお母さんは第二夫人)やその息子(兄)、弟、叔父やクルド人の使用人夫婦、父の同僚など周囲の人々と、勉強でした。
かつて母親に教えられた「一万時間の法則」(=日々数時間でも継続して行けば、十年後、二十年後には熟達する)を守り、自分の未来と国の未来のために励みます。

あまりにも生き生きと情景や出来事が描かれているので、時々ノンフィクションかと錯覚させられるような作品でした。
とはいえ、少女の困難と成長という主軸は児童文学の王道とも言えるところがありますが。
ビジネス書にでてくるような「一万時間の法則」が少女を支える言葉であったりしてちょっと違和感を感じたりもしましたが、著者のメッセージが温かみをもって伝わってきます。
ひたむきに生きるビビたちを通して、どんな困難があっても、あなたたちには「生きる力」があり「未来を紡ぐ力」があるのだという応援をしているのだと思いました。
また、イスラムに対する誤解の部分を正しく語りたいという思いもあるように思いました。

巻末にアフガニスタンの歴史についての解説があるのですが、これにはちょっと「どれだけ勉強が好きなんだ…」と戸惑いました。まあ、ビビたちの背景がわかって確かに良いんですけどね…
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『15歳からのファイナンス理論入門』 [YA]


15歳からのファイナンス理論入門―桃太郎はなぜ、犬、猿、キジを仲間にしたのか?

15歳からのファイナンス理論入門―桃太郎はなぜ、犬、猿、キジを仲間にしたのか?

  • 作者: 慎 泰俊
  • 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
  • 発売日: 2009/04/17
  • メディア: 単行本


ブックラバーズで紹介された本。
中高生向けのファイナンス理論入門。
といっても、ファイナンスなんて全く分かっていない私には、理解のとっかかりになってくれそうなので、手に取りました。
基本、リスクとリターンについて、これでもか、というくらいしつこく、やさしく、観点を変えながら、徐々に難易度を上げて説明してくれています。
あまり幅を広げすぎず、基本をきっちりという姿勢がいいです。
でも、やさしく、それでいて多角的に解説しようとしているためか、私には読みにくいところもありました。
それでも、一般書に書かれているリスクやリターンの根底はこのようなことだったのかとわかり、今まであまりにも無知だった自分に冷や汗がでました。

だけど、やはり最後の方になるに従ってよくわからなくなってきました。
そして、最後の問題の
事業ベータが0.9になった時の事業のプレミアムリスクが23%になるのがどうしてもわからず…。市場のプレミアムリスクは20%じゃないのだろうか…?
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『阿修羅のジュエリー』 [YA]


阿修羅のジュエリー (よりみちパン!セ シリーズ44)

阿修羅のジュエリー (よりみちパン!セ シリーズ44)

  • 作者: 鶴岡 真弓
  • 出版社/メーカー: 理論社
  • 発売日: 2009/03/28
  • メディア: 単行本

興福寺の阿修羅像。
どうしても、その憂いをたたえたような表情に注目してしまいますが、
この本はその阿修羅像を飾るジュエリーたちに注目していくと、
洋の東西にまたがる光のロマンチックなつながりがあるということを解き明かしています。

阿修羅の語源は「天 sura」でないもの「非天 a/sura」という説や「生命asuを与えるra者」という説があるそうです。
その神格自体は、ペルシャのゾロアスター教「アフラ・マズダー」に通じるものがあるそうな。

装飾から読み解く視点は面白いのですが、ちょっと話のまとまりがわかりにくかったです。


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『ガール!ガール!ガールズ!』 [YA]


ガール!ガール!ガールズ! (teens’best selections)

ガール!ガール!ガールズ! (teens’best selections)

  • 作者: 宮下 恵茉
  • 出版社/メーカー: ポプラ社
  • 発売日: 2009/06
  • メディア: 単行本


女の子って、大変。繊細で複雑、でも意外と図太いところもあるような…?
そんな女の子の痛みと、痛かの回復を描いた作品。

木内日菜は中2、美人の姉とは違いいたって平凡。
毎日、それなりにうまくやっている。
テニス部ではリーダー格のまゆとうまくやっているし、パシリにならないように気をつけている。ケータイのメールだってちゃんと返信する。
そんな日常がある日崩壊する。
学校一のルックスの藤崎翔音に声をかけられたから。
翔音に気があるまゆににらまれ、部活でもクラスでも孤立してしまう。
ハズされて一人もがく日菜は、学校をさぼった日に公園で奇妙な親子と出会う。
言葉が遅い真綾ととても太ったその母親。
真綾に好かれてしまった日菜は…。

ケータイってコミュニケーションツールであるはずなのに、ここでは拘束ツールになってしまっています。
多かれ少なかれ、思春期でブレの多い子ども時代からケータイを持つ罪悪はあるんだろうなー、携帯のない時代に子ども時代を過ごせて、ほんと良かったと思ってしまいました。
中学生の女の子たちのハズす、ハズされるという危うい関係性の中での日菜のことを読んでいて、心がちくちくと痛みました。
日菜は平凡で、小心者だけど外見は明るくて素直な子。
そんな風に振るまい、必死に仲間とあわせている姿が息苦しさを感じさせました。
うまく立ち回っているという薄氷を踏むような状態は、あっけなく壊れ、
結局はハズされてしまうのですが、そこからどう物語を持っていくのか、
どきどきさせられました。

奇妙な親子はちょっと都合良い感じかな、と思いつつもそれでも彼女らについおせっかいをやいてしまう日菜の気持ちもわかります。
なんか、彼女らにあい、「真綾はほんとうは、おともだちとあそびたいんだ!」と自分のことは棚に上げ突き進む、若い子ならではの向こう見ずな純粋さ。
そこにわきあがった、感情から日菜は能動的になります。
美人でカンペキと思っていたお姉さんにも意外なコンプレックスがあることを知ったり、お母さんとの関係が深まったり、多分初恋もあり?

今時の中学生の日常を描きつつ、重くなりすぎず読後感はほんわかした楽しさが残りました。
子どもの自己治癒力を応援する小説のように思えました。
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『どんとこい、貧困!』 [YA]


どんとこい、貧困! (よりみちパン!セ)

どんとこい、貧困! (よりみちパン!セ)

  • 作者: 湯浅 誠
  • 出版社/メーカー: 理論社
  • 発売日: 2009/06/25
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


これまで、見て見ぬ振りをしてきた、あるとは分かっていたけど都合の悪いことには目をつぶっていた…それが貧困。
そういうわけで、ないはずのものなので、いざ露見して問題になってくると「貧困」に対するスタンスがずれまくっている、偏っている…そんな気づきをくれた1冊です。
作者の湯浅誠さんは、「年越し派遣村」の村長をつとめたことで有名な方。

書くものは、とても硬くて難しいんだろう、なんて勝手に思っていました。
ところが、のっけから、つまり「まえがき」からものすごーく分かりやすく、説得力のある本だったんです、『どんとこい、貧困!』は。

p4「本当は見えていた。でも見ないようにしてきたし、見えないふりをしてきた。私たちの社会には、そういう情けないところ、ずるいところがあった。」
まえがきでこんなことを言って、まず貧困をまっすぐ見つめ、さらに曲解を正していってくれます。

本編では、私もかかえていたなんとなくもやもや〜っとした部分を上手にひも解いてくれています。
例えば、「自己責任」について、椅子取りゲームをひきあいにして、ゲームで脱落した理由付けをあげます。
「音楽をちゃんと聞いていなかった」「朝ご飯を食べてこなかった」「おしゃべりしていた」等々…理由はいくらでも作れ、それゆえに思い当たる節だってでてきてしまう。
ということは、そういう考え方って一方的ではないか、例えば、椅子の数が人数分ないのなら、プレイヤー全員がイチロー選手や、石川遼選手のようなスーパープレイヤーだったとしても必ず脱落者が出る。それも「努力が足りないんじゃない?」というのだろうか。まてよ、そもそも椅子の数が人数分ないことの方が問題なのでは……。

以前「貧困」関連の本では『子どもの貧困』阿部彩(岩波新書)を読んで衝撃を受けたのですが、こちらはもろに論文を書籍化した本でした。
資料的裏付けや分析、提言など読み応えある本でしたが、いかんせん私には難しすぎました。
大変な状況なんだ、という認識はうまれたのですが、ピンくるまでには至りませんでした。
良い本なんだけど、しろうとにもわかるようにしてほしい、と思っていました。

ジャンルのピンポイントはずれていますが、今回『どんとこい、貧困!』を読んで、『子どもの貧困』に書いてあったことが、少し理解できたような気がしました。
貧困や現代社会の問題の良い入門書だな、と思いました。
“溜め”のお話など、全編が心にグサリときたり雌から鱗が落ちるようなことばかりだったのですが、だからといって「今の社会ってしょうがないことだらけ、希望なんてもてないよ」とうい暗い気分にさせません。
元気をもらえたような気がしました。

特に巻末の重松清氏との対談はお二人の真剣さがひしひしと伝わってきます。
良い本に巡り会えてうれしいです!

『子どもの貧困』↓

子どもの貧困―日本の不公平を考える (岩波新書)

子どもの貧困―日本の不公平を考える (岩波新書)

  • 作者: 阿部 彩
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2008/11
  • メディア: 新書



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『海駆けるライヴァー・バード』 [YA]


海駆けるライヴァー・バード (講談社ノベルス)

海駆けるライヴァー・バード (講談社ノベルス)

  • 作者: 澤見 彰
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2006/05/10
  • メディア: 新書


19世紀末、イギリスの港町リヴァプール。そこに停泊する客船オセアニッック号から、白骨化した死体が発見された。
一方、貧しい住民の居住区ピリー界隈に住むヴィクター少年の母親は一週間前に家出してしまった。お父さんが結婚以来12年間ずっと隠し事をしていたのがばれてしまったのだ。その隠し事というのは、お父さんの仕事「スリ」。ずっと、港湾労働者だと偽っていたのだ。
気落ちしたその父親は、それでも生きるためにまた仕事へでかける。港に豪華客船海竜号(リヴァイアサン号)が入港したからだ。
父親はご令嬢に見える女性の懐中を狙うが……。そこからとんでもない事件に巻き込まれる。

貧しくスリで生計をたてているが、根は善良な父親、元海運会社の令嬢の母親、賢く気だてのいい息子ヴィクター。そして飼い犬のダルメシアンピリー卿。
ヴィクターは父親の危機を救うことができるのか?
ロンドン市警の刑事、オセアニック号の船主……敵味方入り乱れての大冒険が始まる。

冒険サスペンスだけど、なんだかんだ言って犬が活躍しちゃう本です。
この作者さんは犬好きなのかな?
たいていの作品に良い役回りで犬が登場します。
今回も大活躍。ちょっと情けな系のお父さんと違って、超賢く行動力があります。

リヴァプールと言えば、ビートルズ、港湾都市とかくらいしか思い浮かばないかったりします。
今ひとつなじみがない土地、しかも豪華客船がからんだサスペンス。
ちょっと縁がなさすぎなんだけど、その舞台設定を生かして、わくわくする冒険活劇となっています。
こういう舞台設定を活用するのが、上手。
ある意味大風呂敷を広げて、それを面白くまとめる技を持ってる方なんだなーと思いました。

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『菜子の冒険ー 猫は知っていたのかも。』 [YA]


菜子の冒険 猫は知っていたのかも。 (YA!ENTERTAINMENT)

菜子の冒険 猫は知っていたのかも。 (YA!ENTERTAINMENT)

  • 作者: 深沢 美潮
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2008/10/10
  • メディア: 単行本


女子高生の菜子は、ある日友人の愛猫が逃げ出したので一緒に捜索して、近所の偏屈ばあさんの家へ。
そこで、なんか違和感を感じる。好奇心旺盛で妙な直感力のある菜子は、おばあさんが別人だと思うようになって……。
一癖ある売れっ子作家の菜子の母、菜子をかわいがるお手伝いさん、菜子の母や菜子にたじたじの新人編集者の仁(イケメン!)……など、個性豊かな面々が登場。
仁は菜子の探偵の手伝いをさせられて、最初はかなり迷惑気味だが……。
おばあさんは本当に別人が成り済ましているのか、だとしたら、どうして成り済ます必要があるのか……菜子はさぐりだせる??

ミステリーの仕掛けの部分が一風変わっていて面白かったです。
菜子のキャラクターがユニークで、良い意味で直感で動いてしまうタイプ。
でも、時々菜子が見せる仁への淡い思いがかわいです。
ちょっと意地をはったり、自分が迷惑かけているんじゃないかと悩んだり……。
ミステリー部分が主軸だけど、こういうlove部分がほどよいエッセンスになっているなーと思いました。
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